2005年08月14日(日)
Hawaii 百物語 -5-
「Moiliili の盆ダンス」
ハワイのお盆は夕暮れ時の陽気な集まりになります。
週末には、近くのお寺やコミュニティーが主催する、人気の「盆ダンス」が行われます。
いろんな国の人々が、さまざまな「半被(ハッピ)」を着て、太鼓のリズムと歌に合わせて踊り、老いも若きも一緒に生きていることを感謝するのです。
「盆ダンス」において、若い人たちにあまりよく知られていないこともあります。
盆ダンスとは、その踊りを通して、共に暮らした死者の魂と再会する時であり、前の人と間隔をあけて踊っているのは、踊る人の前後には、亡くなった人の魂が踊っているからなのです。
モイリイリのコミュニティーセンターの夏祭りに毎年参加しているアルビンは、若くても、魂祭の霊的な意味をとてもよく知っていました。
彼が子供の頃も、近くのコミュニティーのお盆祭りは屋台やカキ氷など食べ物でいっぱいでした。友達は盆ダンスを茶化し、流行おくれの踊りだと馬鹿にしてからかいましたが、
「月が~出た、出~た~」の歌と太鼓の音に合わせて彼は楽しく踊っていました。
「ちょっと失礼・・・。」
突然、後から肩をたたかれました。
「お父さんはどちらに?」
振り返ってみると、25歳ぐらいでしょうか、若い男性がハッピを着て、ハチマキをして彼のすぐ後ろで踊っていました。
「父ですか?」
「ええ。君のお父さんにお会いしたくて。今どちらに?」
「えっと、父は弟を連れてカキ氷を食べに行っているので、すぐに戻ってくると思います」
「そうですか。おっと、もう行かなきゃ。じゃあ、お願いがあるんだけど。お父さんに『シュウゾウ・ナカムラ』が来たと伝えてもらってもいいかな?」
彼はそういうと、踊りの輪からはずれ、コミュニティーの人ごみにまぎれて行きました。
20分ほどして、お父さんが弟を連れて帰ってきたのでさっきの『シュウゾウ・ナカムラ』という男性のことを言うと。
「・・・誰だって?」父はゆっくりとアルビンに聞き返しました。
「アルビン、それはどんな人だった?」
「えっと・・・。若い人だったよ。25歳ぐらいかな。なんでそんなこと聞くの?」
「・・・私の知っているただ一人の『シュウゾウ・ナカムラ』はずっと昔、1944年に亡くなっているんだ、彼は日本人墓地に埋葬されているよ。」
それから数日した夜、父はアルビンを連れ、第2次世界大戦で亡くなった「442連隊」の戦友が眠るお墓に向かいました。
『ナカムラ』家の墓は、美しい黒御影石で建てられ、きれいに掃除をして美しく保たれていました。お盆ということもあってか、お墓には花や食べ物のお供えがいっぱいでした。
提灯が悲しそうに灯り、犬が吠え、近くのアパートの住民の声が聞こえてくるような町の一区画、モイリイリの日本人墓地に彼のお墓はありました。
父と息子は目を閉じて、手を2回優しく叩くと、「シュウゾウ・ナカムラ」の魂に祈りの言葉を捧げました。
少ししてアルビンがそっと目を開けると、ほんのわずかの間ではあったけれど、ぼんやりとお墓が光り、盆ダンスの時に会った男性の顔がうっすら浮かんでいました。
彼は笑っているようでした。
父もまた、長く共に戦った相棒の顔が見えたそうです。
出展:UH-Manoa Student Folklore Project

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生者と死者がさりげなく交流するような、(ちょっとコワイけど)
いいお話ですね。
お盆の意味を改めて思い直しました。
こちらこそ、ブログ拝見してます。おかえりなさい、かな?
百物語は恐くないものもありますので、また読んでくださいね。